サムスン電子のベトナムへの工場移転と人件費と政治

前記事にサムスンの工場が人件費を理由に海外に移転しており、人件費の上昇が結局韓国の仕事を海外に流出させているという記載をしたのですが、今回はそこら辺のことを記事を引用しながら書いていこうかなと思います。芸能記事じゃないので読まれる数は減りますが、まぁ、しょうがない(笑)






 

サムスン電子は、東南アジア向けをはじめとした低価格の白物家電の生産はベトナムに本拠地を完全に移している状態です。サムスン電子で販売される製品のうちベトナムで生産された製品の割合が2017年4月において57%に達していると言えば、サムスンにおけるベトナムがどれだけ重要性があるかわかるというものでしょう。サムスンは韓国国内で製品を作る際に、細かい部品を「協力会社」という下請け会社に任せています。が、この「協力」の意味はすっごく悪く言えば「サムスンが言う金額で作れないなら別に他にもいっぱいあるからやらなくてもいいけどどうする?」というサムスンに協力している会社ぐらいの意味です。(トヨタなんかでも協力企業として部品を作っている会社があるわけです。トヨタ系もあれば、トヨタの資本とはあまり関係ない会社も勿論あるのと同じようなことだと考えてみればいいです。)

 

サムスンは韓国国内でも白物家電を生産していますが、プレミアム路線の高級家電のみを作っているといいます。プレミアムラインの製品の工場稼働率は高く、交代勤務で24時間動いているようです。サムスン自体はこのプレミアム路線の家電でよい結果を得ていると言います。この記事の中の光州の工場では人員を削減することもなく、稼働しているとサムスンは話します。

 

しかし、この工場の周りにある協力会社のほうの話を聞いてみると、厳しい現状が見えてきます。家電製品の生産ラインがベトナムに動いたことで、サムスンの工場で必要とされる部品の量が急激に減ってしまったというのです。「サムスンの生産ラインには1次から3次まで数百もの協力会社が部品を納品してきたがその生態系は崩壊している。」というように、サムスン自体は韓国国内の工場で利益を出せていても、サムスンの工場のために働いてきた工場は大きな打撃を受けています。それもそのはず、ベトナムにおいてベトナムの生産工場で必要な部品は50%以上をベトナム現地で調達しており、そのためのインフラ整備にもサムスンは力を入れているというのですから、韓国の協力会社が苦しいのもあたりまえです。

 

サムスンは、「韓国国内での人件費では到底低価格帯の家電製品を生産することはできない」と言います。この動きは中国企業でも見られる動きで中国からインドベトナムに移っているのでサムスンだけ韓国国内にのこらないというわけではないのですが。

 

アメリカはサムスンとLGにかなり強力に洗濯機市場に圧力をかけると2018年に入り発表しました。アメリカ国内で作ったものには関税はかからないが、国外で安く作ってアメリカで売ろうとするならば関税をかける、というものです。つまり、トランプ大統領は、アメリカ国内へ工場設立を求めているということ。サムスンは、大規模な工場をサウスカロライナ州に建設、稼働・出荷が始まっています。(LGはアメリカ国内へ大規模工場の設立の情報はまだなく、どうやって2月の関税増加に対応するのかわかりません。)

 

このようにサムスンは、アメリカの市場を失わないために、アメリカで生産することを選びました。サムスン側は「国内企業と競争を避けるということは、国民に高い金額で製品を買わせることだ。」とトランプ側にメッセージを送りましたが、アメリカ側はまず仕事があってこその消費だと言わんばかりに、韓国企業に圧力をかけてきています。

 


サムスンは、韓国のピョンテクに今後世界的に増加する半導体需要に備えるために世界最大規模の半導体工場を建設しました。このことに関して、朴槿恵政権との関係を問われているサムスンのイジェヨン副会長は2017年の年末、裁判で検察の問いに呆れてしまいます。「ピョンテクの半導体工場のことで朴槿恵前大統領になにか頼みごとをしたか」と問われ、「1.5兆円規模の工場となれば、サムスンが世界や自治体から頼まれる側(賄賂などを申し込まれる側)であって、自分たちが何か利益を求めていく側ではない。」と話しました。

 

このようにサムスンは生産と販売価格の両立のために海外に進出しています。低価格帯の製品を作るためには安い人件費が必要であるし、その国その地域に合わせた経営戦略があるのはごく自然なことです。また、半導体という精密さが要求されるものはやはり人件費が高い国内であっても管理が届きやすい韓国で作るという経済的な選択をサムスンは行っているわけです。それを政治的に利用して仮想敵にして国民のうっ憤を晴らすことだけに利用するのはあまりにもあまりにもではないかと。

 

先の朝鮮日報の記事の最後にはこのような識者のコメントがありました。韓国のカイストの教授は「トランプ大統領のように次期政府(ムン政権を指す)も国内の工場を守ることに努力するべきである。」と。また、韓国の財閥関係者は「韓国の大企業政策が支配構造の改善とトップをけん制することだけを考えてきて本当に大切な国民の仕事を守るという観点を重要視していなかった。」と話したという部分に今後の韓国の政治ができることがあると思うのです。





 

日本の賃金の増加は政府からの頼みを受けて、経済界も検討するし、一度に大きく変わるのは大変だと、経済界と政治がすり合わせて行うものだと思うのです。政治と経済がつながるからと言って正義ではないとは言えないと思うのです。ムンジェイン大統領は、政治と経済がつながることを拒否しているようですが、韓国におけるサムスンやほかの財閥の経済的影響力を考えた際に、一緒に協力して韓国という国をまわしていくほうが効率的ではとも思えるのです。そのやり方は、結局今一生懸命現政権支持者たちが否定している朴正煕元大統領のやり方であるともいえるのかもしれません。今回引用した記事は朴槿恵政権から続くものが多いですが、ムンジェイン大統領は本当に国民のための政治を今やっているのでしょうか。やれているのでしょうか。サムスンの動き一つをとっても、大統領がやれることは単に時給を上げるだけではないのではと見えてくるのですが。

 






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