韓国不動産賃貸市場がジョンセから家賃型ウォルセに移動している理由

韓国独特の不動産の賃貸形態にジョンセという制度がある。ジョンセは補償金として売買価格の半分以上払う代わり、月々の支払が無いという日本人から見れば不思議な制度だ。しかし、このような制度が今変わってきているという。



불안한 월세, 치솟는 전셋값에 아우성

ジョンセ(補償金を売買価格の半分以上払い、月々の支払無し)とウォルセ(補償金は売買価格の半分以下であるが家賃がかかる)のうち持ち家や持ちマンションがない庶民は当然ジョンセを好む。インターネット検索」トレンドを見てもジョンセの検索回数がウォルセに比べれば圧倒的に多い。多くの人はやはりジョンセを好んでいるのだ。強い法律の保護を受け居住の安定を図れるジョンセを人々は探している。

 

しかし、実際はウォルセ物件のほうが多い。不動産貸し出し数を見ればウォルセ物件のほうが多くなったのだ。国土交通部の住居実態調査によれば2008年まではジョンセ物件が10ポイントほど多かったが2010年に同数、2014年にはウォルセが55%になった。

上がる一方のウォルセ価格と消えゆくジョンセ物件に市民の悩みは増えるばかりだ。SNSではウォルセと一緒に補償金、負担、住居費、価格などの言葉と一緒に検索され、費用問題が悩みの種であることは簡単に想像がつく。過去のように一人暮らし用の部屋だけでなくふたり以上の部屋にも適用されている現状がある。

 

そうわかっていても価格が安定しているジョンセ物件への関心度は高い。ジョンセと一緒に検索される言葉は、「ローン、上昇、負担、価格、ジョンセ価格」などだ。ジョンセ物件が少なくなってくれば価格は天井知らずに上がっていく。不動産を借りる側としては、肩身が狭くなる一方だ。引っ越し費用も掛かり、費用も掛かるウォルセよりも安定した生活ができるジョンセ物件に関心が向くのもわかる。

 

ウォルセ物件が増えているにもかかわらず、ウォルセ物件に関する保護の法制度は不十分であるという指摘が多い。「横暴なウォルセ物件」に関する対策がまだ足りないということだ。ウォルセに対する税額控除も低所得者にはより拡大されなければならない。また、合理的なウォルセ価格での物件の提供を公共系と民間が推進していかなければならないという声が聞かれる。


 

ジョンセ制度は韓国特有のものだ。ジョンセ制度のおかげで比較的安い賃金であっても家賃にお金を出さなくてもいいので可処分所得が多かった。しかし、ジョンセという制度は金利が高かったからこそ維持できていた制度である。景気活性化のためといって低金利になってしまうと、ジョンセ制度はおいしくないと感じる不動産を貸す側が家賃と同じように毎月収入があるウォルセ制度に移動したのは当たり前である。

実はジョンセ制度も毎月の支払いが完全にないわけではなかった。ジョンセ制度で借りたいと思っても補償金を払えない場合は借金し、毎月利子を払い住む場所を確保してきた。ジョンセで不動産を貸す意味は大きなお金を補償金として預かり、そのお金を金融機関にあずけ、金利利益を得ることであった。しかし、政府はマンションの売買を促進し、マンション価格を上げるために低金利政策を選んだことで、庶民には結局手の届かない不動産市場を作り上げてしまった。家を買おうにも収入とはかけ離れた価格のマンションに庶民はただ生きることの辛さのみを感じることになってしまった。

結局適正価格でウォルセ不動産を供給しましょうと言っても、そこに財閥が入り、公共的な財源が入ったとしてもウォルセの制度自体が韓国社会には可処分所得を減らすという意味で受け入れられにくいし、韓国の経済的にも家庭内の可処分所得が減るということは決して望ましいことではないと思うのであるが、現政権がどこを向いているのかがはっきりとわかる政策である。

 

上の記事では、ウォルセ制度による借主側の保護も少ないため安心安定して生活ができるかどうか不安要素を生んでいるというが、結局は国民の収入が上がり、自由な移動が可能であれば、ウォルセ制度であっても日本のようにやっていけるのである。ウォルセ制度を安定させるためジョンセ制度並みに借り手側の権利を強くしようというが、日本のような家賃収入型のウォルセ制度は、韓国庶民にとって受け入れることが金銭的に難しいであろう。ジョンセ制度の緩和型としてウォルセ制度を準備していくのはどうかと思うのだが、不動産を貸す側にしてみれば低金利である以上、韓国式のジョンセ制度は維持していくうまみがないのだ。

 

他国と比較し、韓国のウォルセ水準は低いというが、所得水準が比較国と異なるため意味がないという指摘は、政権には何の打撃にもならないようである。持ち家率が高くなくても人々が安定して暮らせていた経済状況が変化した以上、不動産市場も変化していくのは当然なのであろう。韓国社会も経済状況の変化についていくためにはウォルセ制度も仕方がないのではないかと頭ではわかっていても、経済的な意味で根本的に難しいことが見て取れる。

 

特に20代30代の若い世代が、この変化に大きい打撃をうけるということは想像に難くないが、それでもソウルに住みたいと考えざるを得ないくらいソウルは韓国の大きな渦の中心だ。負けるものは容赦なくふるい落とされていくのは朝鮮の時代から変わらないのだ。それでも韓国に住む人々はソウルを目指す。それくらいソウルは魅力的である。

 

 

 

 

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