佐村河内守を撮った映画FAKEの気持ち悪さ、と雑感

今回はあんまり韓国のことは出てきてないんですが、ユチョン事件についての思ったことや韓国社会についても書いているので、お暇な方は読んでくださいね。

映画FAKEを見てきました。劇場を出た後パンフレットを買う人が多いこと。みんなあの映画についてどう思っているのか知りたいんでしょうね、私もまんまと買いましたけど!
私は、森達也というおっさんが好きではないけれども、なんだかんだと気になってしまって映画や書物も目は通していたんですが、今回は撮る対象が佐村河内さんということでこりゃ面白いに違いない。いや「気持ち悪い」に違いないと思って、見てきました。



彼の表現するものって答えを出さないからすっごく気持ちが悪い。彼が撮った映像を彼が切り取っているので彼の見方が入っているっていうのには賛成で、「ドキュメンタリーは客観的なんかではなく、作為であり主観」というのは、彼の正直さが出ていて惹かれる部分です。見ている側にとっては、作品を見ても答えは分からないと突き放しているので、それを無責任と感じることもできるだろうけど私はそれがむしろ責任感ある言動に思えるのです。だってあるのは現実だけでしょ、と。切り取ったものは「現実を切り取った現実」であるだけだというのは、実に正直で、自分自身の限界を知っている人だと思えるのです。
さて、森達也への愛情表現はこのくらいにして。映画は、彼の映像作家としての意地悪さも楽しめたし、彼の人間としてのやさしさにもニヤッとした。

この映画のインタビューに彼は「『真偽は簡単に決められないし、そもそも真実はひとつではない』と気づかなければいけない。」と話していますが、聞く人にはすっごい無責任に聞こえるんだろうなぁと思います。彼は、気づいて、じゃ、この映画にしろ、ニュースにしろいろいろな姿勢で見ていきましょうと言いたいのでしょう。でも、私もどこかで、「佐村河内はいい人です」と答えをくれたほうが楽だと思っていると思うんです。だからパンフレットも買ったし(苦笑)わかってて考えようとしてもやっぱり方向は見せてほしい、と思うんでしょうね。

今回の映画での答えは「結局佐村河内っていい人なの?」とか、ラストの11分にまつわることだとは思うのですが、社会に置き換えるとその答えを求めるエネルギーとは絶大なわけで。

他者への不安と恐怖をトリガーにしながら社会の集団化が加速して、セキュリティ意識が急激に高揚した。だからこそ民族とか宗教とか国民とか同質なもの同士で連帯しながら、敵や異物を見つけたいとの気持ちが前景化する。集団は同調圧力をダイナミズムにします。その帰結として、『みんなと同じことをしないものは叩け』的なエモーションが強くなる。

というのは今の日本だけでなく韓国社会にも言えることなのですよね。反日であるとか、慰安婦とか、竹島とか全部そうです。それら自分たちの善を否定してくる日本はたたいてもいい→叩け→叩かないのは韓国国民ではない、と進むわけです。そう思えば、韓国社会も難しくはないけど、でも、生きにくいとは思います。



 

 

映画の中に佐村河内さんを訪れてテレビに出てほしいと頼むフジテレビが出てきます。「佐村河内さんを悪いようにとるつもりは絶対ない」と話すフジテレビの人の顔に苦笑いするしかないのは、みんなそんなふうにフジテレビの顔をしているときがあるからでした。佐村河内さん騒動の時、私もネット記事探しましたし。『人の不幸をメシの種にしているんだ』というのは、ちょっと前のユチョン事件で実感いたしました。こんな弱小ブログですらかつてない訪問者数を記録しました。なるべくあおるのではなく、韓国の人々が感じることを説明したいと書きましたが、とはいってもトイレ写真も紹介したので、なんともかんとも。ユチョンさんの刑が決まったわけでもないのに断定したように書いてしまったというミスも起こしました。それでも、いろいろなコメントで、韓国人はこう受け取るのか、わかってよかった、詳しかったといっていただけたようなので良しとしています。

 

映画を見てこのブログを書いていく方向が固まったと思いました。今まで通り気持ち悪く書こう、と。人間臭い韓国をこれからも書いていこうと。華やかな韓国芸能界だけでなく、その芸能界で仕事しているのも人なのであるし、その芸能人を応援しているのもまた人なんだということを。グラデーションであり、二項対立では言い表せないのが人であり社会なのだ、と。悪者探しが目的ではない。私が笑った分自分も笑われてるんだ、と。

文中では『FAKE』──それは付和雷同の国への楔:森達也、15年ぶりの新作を語るインタビューから引用させていただきました。

トップ画像http://www.fakemovie.jp/introduction/より



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