ソウル市は市民団体にに弱い?市長の政策変化とコロナ第2波拡大の社会的要因

パクウォンスンソウル市長は元々は人権派系の弁護士でした。学生運動にも参加しており、現大統領のムンジェインとも司法修習で同期です。ソウル大学にも一度は合格していますが学生運動で拘束され、檀国大学に再入学後、司法試験を経ています。

学生運動に参加していたので、民主政治を求めていた流れから今でも民主党系ですが、思想自体は、弁護士出身らしく、法律に基づくものが元々はあったように思います。

それは、同性愛に対する考えに表れていると思います。

2014年キリスト教の牧師との歓談会で同性愛について聞かれたときに、「普遍的な差別禁止の原則には賛同することはできるが、宗教や政治的な力学関係などの社会的な要件から見た場合、同性愛を明確に合法化したり支持をする雰囲気ではない。市民社会団体が担う部分であり、ソウル市長として同性愛を支持することはできない。」と話していました。これは、ソウル市で人権憲章を作るという公約があったので、その際に同性愛についてどのように記載するか、宗教界との歓談があった際の言葉として紹介され、人権運動家にこの発言が目に留まり、ソウル市庁で団体が6日間にわたり、デモを行いました。これが大きい原因となってソウル市としてはソウル市民人権憲章を策定できず、市民団体がソウル市民憲章を発表し、憲章は有名無実化しました。(市民団体側の言い方は市民自らの力で憲章を制定した、となりますが。)

市長の考え方は、政治家としても法律家としてもバランスの取れたものだとは思いますが、人権団体からしてみれば、「市長は同性愛に反対している!同性愛は、もう存在するものなのに、否定するとは人権を無視している!」という論理で、デモに突入しました。

このデモを行った団体は「青年左派」で、現在はノモという団体ですが、本当に小さい団体です。あらゆる人権活動をしていますが、おそらく当事者はいません。当事者はいないけど、性少数派の人権が侵害されたとして活動をする…のです。

このとき活動をしていたヨンヘイン氏は基本所得制の実現を目指し、基本所得党から出馬し、2020総選挙で比例代表で国会議員になってしまいりました。確かに人権団体よりも、基本所得制を目指すほうが支持を得られそうです。ただ、中身はフェミニスト思想や人権系でしょう。

話を人権憲章に戻しますが、デモの終了にはパクウォンスン市長が団体に謝罪し、幕を下ろしたとなっています。

そもそもソウル市は2013年の段階で人権憲章案には「性少数者への偏見と差別の解消」が含まれていましたが、デモをきっかけにその後の計画では「性」がなくなり「少数者の権利保護、差別解消」にトーンダウンしました。人権団体の指摘を避けるためだと思われますが、結局この部分の表現に関して公聴会で話をまとめることができず、ソウル市側での人権憲章の策定は霧散しました。

何もパクウォンスンは全部反対するなどと言ったわけではありませんでした。存在を否定するようなことを言っているわけでも、政治的に認めるのが難しいと言っただけだったわけですが、結局、人権団体の求める憲章への記載は遠のいたわけです。

その後、ソウル市庁でクィア(Queer)の祭典が開かれる時になったとき、市庁広場の使用が許可制から申請制に変わっていたなどとして、右派から批判されましたが、実際はクィア祭典のためなのかはわかりませんが、ソウル市側が人権団体の反発の動きを嫌がっているのは本当かもしれません。

人権団体は、当事者でなくても、人権という絶対正義を振り回せるなら、どんなものでもいいのかもしれません。実際、当事者たちは、静かに社会の中で暮らしていきたい、と思っていたとしても、大きな声を出すことが目的です。ただし、社会に対して求めれば求めるほど、人々は反発します。社会的な葛藤は求めれば求めるほど大きくなるものです。

左派右派の葛藤、男女間の葛藤、貧富格差の葛藤、女性同士の中でも葛藤しています。

今回の梨泰院発クラブでの感染に関しても、同性愛に対する批判がありましたが、権利や保護を叫べば叫ぶほど、こういう時に後ろ指を指されることになってしまいます。

行政側でも、職種を絞った営業の自粛要請が難しい理由は、反発を心配する部分もあると思います。いくら疫学的にクラブやカラオケ店が感染拡大の危険があるからと言っても、ことがおこってからでないと、集合禁止命令が出せない。出せたとしても1回目は短かったり、地域が限定的だったせいで、人々の中に、繁華街はコロナでも遊べるという意識があったのではないかと思います。

もちろん日本もすべてが完全閉店しているわけではありませんが、韓国のコロナ第2波からの拡大は日本に比べて強い動員力や権力を持つ韓国であるにもかかわらず国民側の権利の主張が大きすぎる韓国の文化が招いてしまった部分があるのではないかと思わずにはいられません。国会議員選挙が終わった後、なんとなく国の動きが鈍いのもどこの機嫌をうかがっているのか気になるところです。

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